災害対策基本法をわかりやすく解説!①【「防災とは」「災害とは」が載っています】

こんにちは。管理人のTaizanです。防災に関心のある方には一度は読んでほしい「災害対策基本法」について10回に分けて解説します。

法律と聞くと「読むのが難しそう」「一般人にはあまり関係ないのでは?」と思われるかもしれませんが、国の災害対策の考え方がわかりますし、「防災とは」「災害とは」についての説明や、私たち一般住民が努力すべきこと、知っておくべきこともたくさん載っています。さらっとで良いので読んでみることをおススメします。

このページは解説の第1回目です。10回の解説の中で、災害対策基本法の歴史や概要、近年の改正についてなるべく簡単にまとめていますので、他の記事と合わせてぜひ最後までご覧ください!

災害対策基本法制定の経緯

災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)は、1961(S36)年に制定された法律です。この2年前の1959(S34)年に昭和の三大台風の一つである台風15号(伊勢湾台風)によって、日本は甚大な被害を受けました。が発生しました。特に、高潮による被害が大きく、愛知県、三重県を中心に32道府県で死者・行方不明者が5,098名に及び、台風による死者・行方不明者としては明治になって以降最多を記録する災害となりました。
それまで、災害に対応する法令は個別に制定されてきましたが、伊勢湾台風を契機に体系的な防災体制構築の動きが進み、災害対策基本法が制定されました。

伊勢湾台風の被害については、下記の内閣府のウェブサイトをご覧ください。

報告書(1959 伊勢湾台風) : 防災情報のページ - 内閣府
報告書(1959 伊勢湾台風) 1959年(昭和34年)9月26&...

災害対策基本法の章立て

災害対策基本法は、2020年5月現在で11章、117条で構成されています。目次は次のとおりです。

第一章 総則(第一条から第十条)
第二章 防災に関する組織(第十一条から第三十三条)
第三章 防災計画(第三十四条から第四十五条)
第四章 災害予防(第四十六条から第四十九条の十三)
第五章 災害応急対策(第五十条から第八十六条の十八)
第六章 災害復旧(第八十七条から第九十条)
第七章 被災者の援護を図るための措置(第九十条の二から第九十条の四)
第八章 財政金融措置(第九十一条から第百四条)
第九章 災害緊急事態(第百五条から第百九条の二)
第十章 雑則(第百十条から第百十二条)
第十一章 罰則(第百十三条から第百十七条)

117条と聞くと、「ちょっと多いな」と思ってしまいますし、実際、目次を見ただけでくらっと来ますね。さらに追い打ちをかけますが、一つの条文に一つの文章なのかと思いきや、「第三条第二項」や「第四十九条の十三」のように、一つの条文の中に複数の文章が入っているものがあるんですよ・・・というか、ほとんどの条文が複数の文章でできています。見た目のボリュームは117個よりかなり多いです(笑)。

法律の項目だての仕方は独特で難しいですね。参議院のウェブサイトに解説が載っていたので、興味のある方はこちらをご覧ください。

参議院法制局

災害対策基本法の目的(第一条)

第一条と第二条には、この法律を読むにあたって基本となる事項が書かれています。
第一条にはこの法律を制定した「目的」が書かれています。

この法律は、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、防災に関し、基本理念を定め、国、地方公共団体及びその他の公共機関を通じて必要な体制を確立し、責任の所在を明確にするとともに、防災計画の作成、災害予防、災害応急対策、災害復旧及び防災に関する財政金融措置その他必要な災害対策の基本を定めることにより、総合的かつ計画的な防災行政の整備及び推進を図り、もつて社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資することを目的とする。

災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第一条

この法律を作った目的は、「災害が起こった時であっても社会秩序が維持され、公共の福祉が確保されている状態になっていること」です。
国は、上記の目的を達成するために「災害対策の基本を定めて、総合的で計画的な防災行政を整備・推進」します。ここで言う災害対策の基本というのは、国土と国民の生命、財産等を災害から守るために
・防災に関する基本理念を定める
・国や地方公共団体、公的な機関が必要とする体制を確立し責任を明確化する
・防災計画を作成する
・災害予防、災害応急対策、災害復旧および防災に関する財政金融を措置する
等をすることです。早速ちょっと読みにくいですね(笑)。

災害対策基本法の定義(第二条)

第二条にはこの法律で用いる主な言葉の「定義」が書かれています。第二条第一号は「災害」の定義です。

暴風、竜巻、豪雨、豪雪、洪水、崖崩れ、土石流、高潮、地震、津波、噴火、地滑りその他の異常な自然現象又は大規模な火事若しくは爆発その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する政令で定める原因により生ずる被害をいう。

災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第二条第一号

自然現象が細かく記載されていますし、自然現象に限らず大規模な火事や爆発といった人的な原因(もありうる現象)による被害も災害に含まれます。また、条文中にある「政令で定める原因」というのは災害対策基本法施行令(昭和三十七年政令第二百八十八号)第一条に「放射性物質の大量の放出、多数の者の遭難を伴う船舶の沈没その他の大規模な事故」のことだと定められています。
災害対策基本法施行令とは、災害対策基本法に書かれている内容を補足する国が定めた決まり事で、細かいことを言うと法律ではありません。他にも、「災害対策基本法施行規則」という決まり事もあります。

第二条第二号は、「防災」についての定義です。

災害を未然に防止し、災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ、及び災害の復旧を図ることをいう。

災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第二条第二号

災害対策基本法の章立てとも関係しますが、防災について考えるときは、フェーズを分けて考えることが大切です。災害対策基本法では、
・災害予防・・・災害を未然に防止する
・災害応急対策・・・災害が発生した場合における被害の拡大を防ぐ
・災害復旧・・・災害の復旧を図る
という3つのフェーズを意識して作られています。普通、「防災」と聞くと非常食を購入したり、防災訓練に参加したりと「災害が発生する前の予防」をイメージしがちですが、災害が発生した後の被害拡大防止や災害からの復旧について考えることも立派な防災です。

第三号から第六号は組織に関する定義ですが、条文を見てもよくわかりません・・・。内閣府のウェブサイトに何の組織のことなのか説明したページがあったので、そちらをご覧ください。ちなみに、第六号の指定地方公共機関だけは各都道府県で指定されているもので内閣府のウェブサイトには記載はありません。気になった方はお住いの都道府県のウェブサイトをご覧ください。

指定行政機関についてはこちら。

指定行政機関 : 防災情報のページ - 内閣府
指定行政機関

指定地方行政機関についてはこちら。

指定地方行政機関 : 防災情報のページ - 内閣府
指定地方行政機関

指定公共機関についてはこちら。

指定公共機関 : 防災情報のページ - 内閣府
指定公共機関

第七号から第十号は「防災計画」に関する定義です。ブログの別ページで解説していますのでそちらをご覧ください。

第二条の二では、災害対策の「基本理念」を定められています。

一 我が国の自然的特性に鑑み、人口、産業その他の社会経済情勢の変化を踏まえ、災害の発生を常に想定するとともに、災害が発生した場合における被害の最小化及びその迅速な回復を図ること。
二 国、地方公共団体及びその他の公共機関の適切な役割分担及び相互の連携協力を確保するとともに、これと併せて、住民一人一人が自ら行う防災活動及び自主防災組織(住民の隣保協同の精神に基づく自発的な防災組織をいう。以下同じ。)その他の地域における多様な主体が自発的に行う防災活動を促進すること。
三 災害に備えるための措置を適切に組み合わせて一体的に講ずること並びに科学的知見及び過去の災害から得られた教訓を踏まえて絶えず改善を図ること。
四 災害の発生直後その他必要な情報を収集することが困難なときであつても、できる限り的確に災害の状況を把握し、これに基づき人材、物資その他の必要な資源を適切に配分することにより、人の生命及び身体を最も優先して保護すること。
五 被災者による主体的な取組を阻害することのないよう配慮しつつ、被災者の年齢、性別、障害の有無その他の被災者の事情を踏まえ、その時期に応じて適切に被災者を援護すること。
六 災害が発生したときは、速やかに、施設の復旧及び被災者の援護を図り、災害からの復興を図ること。

災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第二条の二

あまりかみ砕けていないかもしれませんが、まとめると以下のような意味になります。
・日本の自然特性や社会的な要因を踏まえ、常に災害の発生を想定し、災害が発生した場合の被害の最小化とその迅速な回復を図る。
・国、地方公共団体およびその他の公共機関の役割分担と相互協力を行う。合わせて、住民一人一人や自主防災組織が行う防災活動を促進する。
・科学的な知見や過去の災害からの教訓を踏まえて災害対策を改善する。
・災害発生直後であってもできる限り的確にに状況を把握し、資源を適切に配分することで人命を最も優先して保護する。
・被災者を支援するときは被災者による主体的な行動を第一に考える。また、その時期や被災者の性別、障害の有無といった事情を踏まえて支援する。
・災害発生時は速やかに復旧・復興を目指す。

まとめ

ここまでを読むだけでも、災害の定義やこの法律の目的、国の姿勢など、基本的で大切な情報がたくさん書かれていました。「災害」と聞くと自然災害をイメージしてしまいますが、この法律では人的な事故が原因の被害も災害に含まれるのですね。
ここから、災害対策基本法のメインの部分に突入しますので、次の記事で解説します。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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