災害対策基本法をわかりやすく解説!⑤【「防災とは」「災害とは」が載っています】

こんにちは。管理人のTaizanです。防災に関心のある方には一度は読んでほしい「災害対策基本法」について10回に分けて解説します。

法律と聞くと「読むのが難しそう」「一般人にはあまり関係ないのでは?」と思われるかもしれませんが、国の災害対策の考え方がわかりますし、「防災とは」「災害とは」についての説明や、私たち一般住民が努力すべきこと、知っておくべきこともたくさん載っています。さらっとで良いので読んでみることをおススメします。

このページは解説の第5回目です。10回の解説の中で、災害対策基本法の歴史や概要、近年の改正についてなるべく簡単にまとめていますので、他の記事と合わせてぜひ最後までご覧ください!

災害対策の推進(災害予防)

内閣府作成の「災害対策基本法の概要」全6項目の4つ目は、「災害対策の推進」です。概要の資料には、以下のように書かれています。

災害対策を災害予防、災害応急対策及び災害復旧という段階に分け、それぞれの段階毎に、各実施責任主体の果たすべき役割や権限が規定されている。具体的には、防災訓練義務、市町村長の警戒区域設定権、応急公用負担、災害時における交通の規制等についての規定が設けられている。

災害対策基本法(昭和36年法律第223号)の概要

ここでは、具体的な災害対策について「災害予防」「災害応急対策」「災害復旧」に分けて記載されています。この項目かなりボリューミーです。今回は「災害予防編」ということで、災害が発生するまでの対策について説明します。

災害予防とは

災害予防とは、「防災に関する組織の整備」、「防災教育・防災訓練」、「物資や資材の備蓄、整備、点検」、「施設や設備の整備、点検」、「災害時の円滑な相互応援や民間の協力の確保」、「要配慮者の生命や身体の保護」、「その他、災害応急対策の改善」について、災害の発生や拡大を未然に防ぐために行うことです(第四十六条第一項)。

指定行政機関の長や地方公共団体の長等法令の規定により災害予防の実施について責任を有する者は、法令や防災計画の定めに従い、災害予防を実施しなければならなりません(第四十六条第二項)。

組織の整備

指定行政機関の長や地方公共団体の長、防災上重要な施設の管理者等(災害予防責任者)は、法令や防災計画の定めに従い、その所掌する事務や業務について、災害の予測、予報、または災害に関する情報を迅速に伝達するための組織を整備し、その改善に努めなければなりません(第四十七条第一項)。また、防災業務計画や地域防災計画を的確かつ円滑に実施するために防災に関する組織を整備し、防災に関する事務や業務に従事する職員の配置等を定めなければなりません(第四十七条第二項)。

防災教育・防災訓練

災害予防責任者は、法令や防災計画の定めに従い、その所掌する事務や業務について防災教育の実施に努めなければなりません(第四十七条の二第一項)。防災教育をするときは、教育機関等の団体に協力を求めることができます(第四十七条の二第二項)。
災害予防責任者は、法令や防災計画の定めに従い、防災訓練を行わなければなりません(第四十八条第一項)。各機関の職員等は、防災計画や災害予防責任者の定めに従い、防災訓練に参加しなければなりません(第四十八条第二項)。

物資の備蓄・設備点検

災害予防責任者は、法令や防災計画の定めに従い、その所掌する事務や業務の災害応急対策や災害復旧に必要な物資や資材を備蓄、整備、点検し、施設や設備の整備や点検をしなければならなりません(第四十九条)。

相互応援・物資供給の協力

災害予防責任者は、法令や防災計画の定めに従い、災害応急対策や災害復旧の実施にあたり円滑に他の者の応援を受け、又は他の者を応援するために、相互応援に関する協定の締結等の必要な措置を講ずるよう努めなければなりません(第四十九条の二)。また、必要な物資を供給する事業者(物資供給事業者等)の協力を円滑に得るために物資供給事業者等との協定の締結等の必要な措置を講ずるよう努めなければなりません(第四十九条の三)。

指定緊急避難場所・指定避難所

市町村長は、防災施設の整備の状況、地形等の状況を踏まえ必要があるときは、災害が発生、またはその恐れがある場合に円滑かつ迅速な避難をするため、政令で定める基準に適合する施設や場所を政令で定める異常な現象の種類ごとに「指定緊急避難場所」として指定しなければなりません(第四十九条の四第一項)。
ここで言う政令で定める基準は災害対策基本法施行令第二十条の三災害対策基本法施行規則(昭和三十七年総理府令第五十二号)第一条の三から五に、異常な災害とは災害対策基本法施行令第二十条の四災害対策基本法施行規則第一条の六に定められています。

市町村長は、想定される災害の状況や人口の状況等を勘案し、災害が発生した場合の適切な避難所(居住者等を滞在させたり、住居を失った住民等を一時的に滞在させる施設)を確保するため、政令で定める基準に適合する公共施設等の施設を「指定避難所」として指定しなければなりません(第四十九条の七第一項)。
ここで言う政令で定める基準は災害対策基本法施行令第二十条の六災害対策基本法施行規則第一条の九に定められています。

指定緊急避難場所と指定避難所は相互に兼ねることができます(第四十九条の八)。

市町村長は、居住者等の円滑な避難のために、内閣府令の定める災害に関する情報の伝達方法や指定緊急避難場所、避難経路といった情報を、内閣府令で定める方法により居住者等に周知するよう努めなければなりません(第四十九条の九)。
ここで言う方法は災害対策基本法施行規則第一条の八に定められています。

避難行動要支援者名簿

市町村長は、市町村に居住する要配慮者のうち、災害が発生、またはその恐れがある場合に自分で避難することが困難で、円滑かつ迅速な避難のために支援を必要とする者(避難行動要支援者)の把握に努めなければなりません。また、地域防災計画の定めに従い、避難支援のための基礎となる「避難行動要支援者名簿」を作成しておかなければなりません(第四十九条の十第一項)。
避難行動要支援者名簿には、「氏名」、「生年月日」、「性別」、「住所又は居所」、「連絡先」、「避難支援等を必要とする理由」等を記載します(第四十九条の十第二項)。名簿の作成にあたり必要があれば、都道府県知事等に対して要配慮者に関する情報提供を求めることができます(第四十九条の十第四項)。
市町村長は、地域防災計画の定めに従い、本人の同意を得られた場合は、災害の発生に備え、避難支援等に必要な範囲で消防機関や民生委員、社会福祉協議会等に名簿の情報を提供します(第四十九条の十一第二項)。災害が発生、またはその恐れがある場合に、避難行動要支援者の生命や身体を災害から保護するために特に必要があれば、本人の同意なしに名簿の情報を提供することができます(第四十九条の十一第三項)。
名簿の情報を提供するときは、地域防災計画の定めに従い、情報漏洩の防止や避難行動要支援者の権利の保護に努めなければなりません(第四十九条の十二)また、名簿の情報を提供された者、名簿の情報を利用し避難支援等に携わる者は、知りえた情報を漏らしてはいけません(第四十九条の十三)。

まとめ

第四十九条の四に記載されている「指定緊急避難場所」と第四十九条の七に記載されている「指定避難所」の違い、わかりましたでしょうか?
「指定緊急避難所」とは、2011(H23)年に発生した東日本大震災の教訓から2013(H25)年の改正で定められたものです(近年の改正についてはその10で説明しています)。
「指定緊急避難場所」は、災害が発生したまさにその時に身をを守るために逃げる場所のことです。特徴的なものだと、津波から逃れるために指定されている「津波避難ビル」や、大規模な火災から身を守るための「広域避難場所」などがあげられます。飽くまで災害から身を守るための場所ですから、生活するため環境があるわけではなく、津波から身を守るための「高さ」や「頑丈さ」、火災から身を守るための「広さ」が重要視されます。また、ここまでの説明のとおり、災害ごとに回避するための場所は大きく異なります。
津波避難ビルについて気になった方は以下の高知市のウェブサイトをご覧ください。

津波避難ビル - 高知市公式ホームページ
南海トラフ地震発生時における緊急避難場所のうち津波避難ビルに関する情報

一方、「指定避難所」とは、いわゆる皆さんが「避難所」と聞いて思い浮かべる学校等のことです。「収容避難所」という言葉もありますが、指定避難所とほぼ同じ意味でつかわれていると思います。ライフラインが復旧するまでの間、また、仮設住宅が用意されるまでの間、「生活する」ことができる施設が指定されています。また、災害対策基本法施行令第二十条の六第五号に定められているように、要配慮者を滞在させるための設備を備えた「福祉避難所」というものもあります。

この2つが混同されたり、正しい意味が伝わっていないことがよくあるのですが、それには2つの理由があります。
1つ目の理由は、そもそも、「指定避難所」と「指定緊急避難場所」のどちらにも指定されている場所があるからです。学校等でよく見られるケースですが、同じ学校であっても、それぞれの状況で私たちがとるべき行動は異なります。例えば、津波が発生した時は学校の中でもなるべく高いところ(校舎の上の階など)に避難しなければなりませんし、大規模な火災が発生している場合は燃える可能性のあるものから離れるためにグラウンドに避難しなければなりません。これは「指定緊急避難場所」としての学校の使われ方です。そして、津波や火災が落ち着いた後で、避難生活を送るために体育館等に移動することになります。これが「指定避難所」としての学校の使われ方です。このように、施設をどのように使うのかを考えることで正しく意味を理解することができます。
2つ目の理由は、自治体ごとに避難場所や避難所を示す言葉定義が異なっているからです。例えば、東京都では「避難場所」という言葉は「火災から身を守るための広い場所」という意味で使われています。「指定緊急避難場所」の本来の定義よりも狭い意味のようです。また、避難場所とは別に「一時集合場所」というものを定めています。こちらは、避難者が避難のために一時的に集まる場所のことで、学校のグラウンドや公園等が指定されていますが、「指定緊急避難場所」の一部のように感じます。

避難所及び避難場所
東京都総合防災部の公式ホームページ。東京都内の避難情報など災害に関する情報を発信するとともに、事前の備えや都の取組を紹介しています。

一方、大阪市では、「避難場所」の種類として「広域避難場所」「一時避難場所」「津波避難ビル・水害時避難ビル」があります。「避難場所」の言葉の使い方は「指定緊急避難場所」の定義とほぼ一致しているようです。

災害時の避難場所、避難所について
もしも地震や風水害などが起こり、避難が必要になったら…あなたはすぐに行動できますか?災害の種類によって避難先は異なります。いざというときあわてないために、日頃から災害の種類ごとに安全に避難できる場所と道順を確認しておきましょう!津波や大雨..

災害対策基本法との違いを気にしなくても、自分の住んでいる自治体での言葉の使い方を覚えておけば避難には何の問題はないように思います。しかし、旅行や出先で災害にあった時に、自分が住んでいる自治体と言葉の定義が異なっていることに気づかずに間違った場所に避難してしまい、最悪の場合命を落としてしまうことも考えられます。自治体ごとに避難についてわかりやすい説明するために工夫すること自体を否定するわけではないのですが、国で大きなルールを定めて、それに従った言葉の使い方をした方が混乱しなくて済むのではと思っています・・・。
指定緊急避難所と指定避難所について気になった方は以下の内閣府のウェブサイトもご覧ください。

平成27年版 防災白書|第1部 第1章 第2節 2-2 指定緊急避難場所・指定避難所 : 防災情報のページ - 内閣府
第1部 第1章 第2節 2-2 指定緊急避難場所&#1...

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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