災害対策基本法をわかりやすく解説!⑥【「防災とは」「災害とは」が載っています】

こんにちは。管理人のTaizanです。防災に関心のある方には一度は読んでほしい「災害対策基本法」について10回に分けて解説します。

法律と聞くと「読むのが難しそう」「一般人にはあまり関係ないのでは?」と思われるかもしれませんが、国の災害対策の考え方がわかりますし、「防災とは」「災害とは」についての説明や、私たち一般住民が努力すべきこと、知っておくべきこともたくさん載っています。さらっとで良いので読んでみることをおススメします。

このページは解説の第6回目です。10回の解説の中で、災害対策基本法の歴史や概要、近年の改正についてなるべく簡単にまとめていますので、他の記事と合わせてぜひ最後までご覧ください!

災害対策の推進(災害応急対策 前編)

内閣府作成の「災害対策基本法の概要」全6項目の4つ目、「災害対策の推進」の第二弾「災害応急対策編」です。おさらいのために、概要の資料の「災害対策の推進」について確認しておきましょう。

災害対策を災害予防、災害応急対策及び災害復旧という段階に分け、それぞれの段階毎に、各実施責任主体の果たすべき役割や権限が規定されている。具体的には、防災訓練義務、市町村長の警戒区域設定権、応急公用負担、災害時における交通の規制等についての規定が設けられている。

災害対策基本法(昭和36年法律第223号)の概要

「災害応急対策」は、まさに災害が発生した時の対応について書かれているところです。このパート、かなりの分量があるのでさらに前後半に分けて説明します。この記事は前編です。

災害応急対策とは

災害応急対策とは、災害が発生、またはその恐れがある場合に「警報の発令や伝達、避難の勧告や指示」、「消防、水防等の応急措置」、「被災者の救難や救助、保護等」、「被災した児童や生徒の応急の教育」、「施設や設備の応急の復旧」、「廃棄物の処理や清掃、防疫等の生活環境の保全や公衆衛生」、「犯罪の予防や交通規制等の社会秩序の維持」、「緊急輸送の確保」等について災害の発生を防御し、災害の拡大を防止するために行うことです(第五十条第一項)。

指定行政機関の長や地方公共団体の長等法令の規定により災害応急対策の実施について責任を有する者は、法令や防災計画の定めに従い、災害応急対策に従事する者の安全確保に十分配慮して、災害応急対策を実施しなければなりません(第五十条第二項)。

情報の収集・伝達・周知・報告

指定行政機関の長や地方公共団体の長、防災上重要な施設の管理者等(災害応急対策責任者)は、法令や防災計画の定めに従い、災害に関する情報の収集や伝達に努めなければなりません(第五十一条第一項)。また、情報収集や伝達にあたっては、地理空間情報活用推進基本法(平成十九年法律第六十三号)第二条第一項に定める地理空間情報の活用に努めなければなりません(第五十一条第二項)。
災害応急対策責任者は、災害に関する情報を共有し、相互に連携して災害応急対策の実施に努めなければなりません(第五十一条第三項)。

内閣総理大臣は、非常災害が発生、またはその恐れがある場合に避難のために必要があるときは、法令や防災計画の定めに従い、予想される災害の事態や災害に対してとるべき措置について周知しなければなりません(第五十一条の二)。

市町村は、市町村内で災害が発生した場合は、政令の定めに従い、災害の状況や災害に対してとられた措置の概要を速やかに都道府県に報告しなければなりません。都道府県に報告できない場合は、内閣総理大臣に報告しなければなりません(第五十三条第一項)。この災害の発生により市町村が報告を行うことができなくなった場合は、都道府県はこの災害に関する情報収集に特に意識しなければなりません(第五十三条第六項)。
都道府県は、都道府県内で災害が発生した場合は、政令の定めに従い、災害の状況や災害に対してとられた措置の概要を速やかに内閣総理大臣に報告しなければなりません(第五十三条第二項)。この災害の発生により都道府県が報告を行うことができなくなった場合は、指定行政機関の長はこの災害に関する情報収集に特に意識しなければなりません(第五十三条第七項)。
指定公共機関の代表者は、その業務に関する災害が発生した場合は、政令の定めに従い、災害の状況や災害に対してとられた措置の概要を速やかに内閣総理大臣に報告しなければなりません(第五十三条第三項)。
指定行政機関の長は、その業務に関する災害が発生した場合は、政令の定めに従い、災害の状況や災害に対してとられた措置の概要を速やかに内閣総理大臣に報告しなければなりません(第五十三条第四項)。

内閣総理大臣は、上記の定めによる報告を受けたときは、その報告に関する事項を中央防災会議に通報しなければなりません(第五十三条第八項)。

上記の定めにより報告された災害が非常災害であると認められるときは、市町村や都道府県、指定公共機関の代表者、指定行政機関の長は、非常災害の規模の把握のための情報収集に特に意識しなければなりません(第五十三条第五項)。

災害が発生する恐れがある異常な現象を発見した人は、すぐに市町村長や警察官、海上保安官に通報しなければなりません(第五十四条第一項)。また、通報をうけた警察官や海上保安官はすぐに市町村長に通報しなければなりません(第五十四条第三項)。
通報をうけた市町村長は、地域防災計画の定めに従い、気象庁等の関係機関に通報しなければなりません(第五十四条第四項)。

都道府県知事は、気象庁等の国の機関から災害に関する予報や警報の通知を受けたとき、また、自ら災害に関する警報を発したときは、法令や地域防災計画の定めに従い、予想される災害の事態やとるべき措置について、関係指定地方行政機関の長等に対して必要な通知や要請をします(第五十五条)。
市町村長は、災害に関する予報や警報等の通知を受けたとき、また、自ら災害に関する警報を発したときは、法令や地域防災計画の定めに従い、その内容を関係機関や住民等に伝達しなければなりません。この場合、必要があるときは避難の準備等について通知や警告をすることができます(第五十六条第一項)。市町村長は、この通知や警告にあたっては、要配慮者が円滑に避難できるよう特に配慮しなければなりません(第五十六条第二項)。
都道府県知事や市町村長は、この通知や警告等が緊急を要するもので、特別の必要があるときは、放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第二条第二十三号に規定する基幹放送事業者(テレビ局等)に放送を求めたり、インターネットでの情報提供を行う事業者にインターネットでの情報提供を求めたりすることができます(第五十七条)。こういった放送や情報提供にあたっては、あらかじめそれぞれの事業者と協議して定めた手続きにより行わなければいけません(災害対策基本法施行令第二十二条)。

事前措置

市町村長は、災害が発生する恐れがある場合は、法令や地域防災計画の定めに従い、消防機関や警察官等災害応急対策責任者に対して、応急措置に必要な準備を要請しなければいけません(第五十八条)。

市町村長は、災害を拡大させる恐れのある設備や物件の所有者等に対し、必要な範囲で設備の除去等必要な措置をとることを指示をすることができます(第五十九条第一項)。
警察署長等は、市町村長から要求があった場合は同様の指示をすることができます(第五十九条第二項)。

避難の勧告・指示

市町村長は、災害が発生、またはその恐れがある場合に特に必要があるときは、居住者等に対し、避難の勧告をすることができます。また、急を要するときは避難の指示をすることができます(第六十条第一項)。避難の勧告や指示の際、避難先として指定緊急避難所等の避難場所を指示することができます(第六十条第二項)。
市町村長は、災害が発生、またはまさに発生しようとしている場合で避難する方がかえって危険が及ぶ恐れがあるときは、屋内での待避等の安全確保措置を指示することができます(第六十条第三項)。
警察官や海上保安官は、市町村長が上記の避難等の指示ができない場合や市町村長から要求があった場合は、上記の避難等の指示をすることができます(第六十一条第一項)。

市町村長は、避難等の勧告や指示をする場合に必要なときは、指定行政機関の長等に対し、その勧告や指示について助言を求めることができます。助言を求められた指定行政機関の長等は、その所掌する事務に関して必要な助言をするものとします(第六十一条の二)。

市町村の応急措置

市町村長は、市町村内で災害が発生、またはまさに発生しようとしているときは、法令や地域防災計画の定めに従い、消防や水防、救助といった災害を防ぎ、拡大を防止するために必要な措置(応急措置)をすみやかに実施しなければなりません(第六十二条第一項)。
市町村内の公共的団体等の応急措置の実施の責任を有する者は、市町村内で災害が発生、またはまさに発生しようとしているときは、地域防災計画の定めに従い、市町村長の指示の下にその所掌する事務や業務に関する応急対応を実施し、市町村長が実施する応急措置に協力しなければなりません(第六十二条第二項)。

市町村長の警戒区域の設定

市町村長は、災害が発生、またはまさに発生しようとしている場合に特に必要があるときは、警戒区域を設定し、災害応急対策に従事する人以外の人の立ち入りの制限や禁止、退去を命じることができます(第六十三条第一項)。
警察官や海上保安官は、市町村長等が現場にいないときや市町村長等から要求があったときは、同様の措置ができます(第六十三条第二項)。
自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第八十三条第二項により災害派遣を命ぜられた自衛官は、市町村長等が現場にいないときに限り、同様の措置ができます(第六十三条第三項)。

応急公用負担(住民等にかかる負担)

市町村長は、市町村内で災害が発生、またはまさに発生しようとしている場合に緊急の必要があるときは、政令の定めに従い、市町村内の他人の土地や建物等を一時使用したり、土石や竹木等を使用または収用したりすることができます(第六十四条第一項)。また、応急措置の実施の支障となる工作物等の除去といった必要な措置をとることができます。市町村長は、工作物等を除去したときは、その工作物を保管しなければなりません(第六十四条第二項)。
警察官や海上保安官は、市町村長等が現場にいないときや市町村長等から要求があったときは、同様の措置ができます(第六十四条第七項)。
災害派遣を命ぜられた自衛官は、市町村長等が現場にいないときに限り、同様の措置ができます(第六十四条第八項)。

市町村長は、市町村内で災害が発生、またはまさに発生しようとしている場合に緊急の必要があるときは、市町村内の住民やその現場にいる人を応急措置に従事させることができます(第六十五条第一項)。
警察官や海上保安官は、市町村長等が現場にいないときや市町村長等から要求があったときは、同様の措置ができます(第六十五条第二項)。
災害派遣を命ぜられた自衛官は、市町村長等が現場にいないときに限り、同様の措置ができます(第六十五条第三項)。

漂流物等の処理

警察官は、災害が発生した場合に水難救護法(明治三十二年法律第九十五号)第二十九条第一項に基づき漂流物や沈没品を取り除いたときは、市町村長に引き渡さずそれを保管することができます(第六十六条第一項)。

市町村の応援等の要求

市町村長は、市町村内で災害が発生した場合に必要があるときは、他の市町村の市町村長に応援を求めることができます。特に、応急措置の実施のための応援を求められた市町村長は、正当な理由なく断ることができません(第六十七条第一項)。
市町村長は、市町村内で災害が発生した場合に必要があるときは、都道府県知事に応援を求めたり、災害応急対策の実施を要請することができます。要請された都道府県知事は、正当な理由なく断ることができません(第六十八条)。
市町村長は、市町村内で災害が発生、またはまさに発生しようとしている場合に必要があるときは、都道府県知事に自衛隊法第八十三条第一項に基づく要請をするよう求めることができます(第六十八条の二第一項)。

市町村の事務の委託

市町村は、市町村内で災害が発生した場合に必要があるときは、地方自治法第二百五十二条の十四等にかかわらず、政令の定めに従い、その事務の一部を他の地方自治体に委託することができます(第六十九条)。

都道府県の応急措置

都道府県知事は、災害が発生、またはまさに発生しようとしているときは、法令や地域防災計画の定めに従い、その所掌する事務に関する応急措置をすみやかに実施し、市町村の実施する応急措置が的確かつ円滑に行なわれるよう努めなければなりません(第七十条第一項)。
都道府県知事は、災害が発生、またはまさに発生しようとしているときに必要があるときは、指定行政機関の長等に応急措置を要請することができます。要請された指定行政機関の長等は、正当な理由なく断ることができません(第七十条第三項)。

都道府県知事の従事命令等

都道府県知事は、都道府県内で災害が発生した場合に、第五十条第一項第四号から第九号に定める事項の実施に特に必要があるときは、災害救助法(昭和二十二年法律第百十八号)第七条から第十条により、従事命令や協力命令、物資等の管理等をすることができます(第七十一条第一項)。

都道府県知事の指示等

都道府県知事は、特に必要があるときは、都道府県内の市町村長に対して応急措置について指示をしたり、被災した市町村長の応援を指示することができます(第七十二条第一項)。
都道府県知事は、特に必要があるときは、都道府県内の市町村長に対して災害応急対策を求めたり、被災した市町村長の応援を求めることができます(第七十二条第二項)。

都道府県知事による応急措置の代行

都道府県知事は、都道府県内で災害が発生した場合に市町村がその全部または大部分の事務を行うことができなくなったときは、第六十三条第一項第六十四条第一項第六十四条第二項第六十五条第一項に記載の応急措置の全部または一部を市町村長に代わり実施しなければなりません(第七十三条第一項)。

都道府県知事の応援等の要求

都道府県知事は、都道府県内で災害が発生した場合に必要があるときは、他の都道府県の都道府県知事に応援を求めることができます。特に、応急措置のための応援を求められた都道府県知事は、正当な理由なく断ることができません(第七十四条第一項)。
都道府県知事は、都道府県内で災害が発生した場合に必要があるときは、他の都道府県知事に、災害が発生した市町村長の応援を求めることができます(第七十四条の二第一項)。
都道府県知事は、都道府県内で災害が発生した場合に必要があるときは、内閣総理大臣に、他の都道府県知事等に災害が発生した都道府県や市町村長を応援を求めることを求めることができます(第七十四条の三第一項)。

都道府県の事務の委託

都道府県は、都道府県内で災害が発生した場合に必要があるときは、地方自治法第二百五十二条の十四等にかかわらず、その事務の一部を他の都道府県に委託することができます(第七十五条)。

まとめ

災害応急対策の前半部分だけでかなりのボリュームでした・・・。

第五十条で定められた災害応急対策のうち、特に消防や水防、救助といった人命にかかわる緊急性が極めて高い応急対策のことを第六十二条で「応急措置」と定めています。この応急措置については、被災した都道府県や市町村から要請があった場合は、第六十七条第七十四条で定められているとおり、その要請に応えなければならない義務があります。人命にかかわることですから当然ですが、項目の多い災害応急対策の中でも、義務として書かれているとても重要なことの一つです。

次回は災害応急対策の後半です。最後まで読んでいただきありがとうございました!

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