災害対策基本法をわかりやすく解説!⑦【「防災とは」「災害とは」が載っています】

こんにちは。管理人のTaizanです。防災に関心のある方には一度は読んでほしい「災害対策基本法」について10回に分けて解説します。

法律と聞くと「読むのが難しそう」「一般人にはあまり関係ないのでは?」と思われるかもしれませんが、国の災害対策の考え方がわかりますし、「防災とは」「災害とは」についての説明や、私たち一般住民が努力すべきこと、知っておくべきこともたくさん載っています。さらっとで良いので読んでみることをおススメします。

このページは解説の第7回目です。10回の解説の中で、災害対策基本法の歴史や概要、近年の改正についてなるべく簡単にまとめていますので、他の記事と合わせてぜひ最後までご覧ください!

災害対策の推進(災害応急対策 後編)

項目の4つ目、「災害対策の推進」の第二弾「災害応急対策」編です。「災害対策の推進」については、概要の資料には、以下のように書かれています。

災害対策を災害予防、災害応急対策及び災害復旧という段階に分け、それぞれの段階毎に、各実施責任主体の果たすべき役割や権限が規定されている。具体的には、防災訓練義務、市町村長の警戒区域設定権、応急公用負担、災害時における交通の規制等についての規定が設けられている。

災害対策基本法(昭和36年法律第223号)の概要

災害が発生した時の対応について書かれている「災害応急対策」、前回の前編に続き後編です。

災害時の交通規制・車両等の移動

都道府県公安委員会は、都道府県内や接する都道府県で災害が発生、またはその恐れがある場合に緊急の必要があれば、政令の定めに従い、道路の区間を指定して、道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第三十九条第一項に定められる緊急自動車等の緊急通行車両以外の車両の通行の禁止や制限をすることができます(第七十六条第一項)。ここで定める緊急通行車両とは、災害対策基本法施行令第三十二条の二のとおりです。
公安委員会は、災害対策基本法施行令第三十二条第一項に定めるとおり、通行の禁止や制限をする場合は、禁止や制限の対象、区域、期間などを記載した災害対策基本法施行規則第五条第一項に定める様式を、災害対策基本法施行規則第五条第二項に定めるとおり道路の中央または左側の路端に設置しなければなりません。ただし、緊急を要するため設置する時間がなかったり、設置が困難であるとときは、警察官の指示によって禁止や制限を行うことができます。

車両の運転手は、通行禁止等になった場合、車両を速やかに区間外に移動させなければなりません。移動が困難な場合は、車両をできるだけ道路の左側に寄せて駐車する等、緊急通行車両の通行を妨害しないように駐車しなければなりません(第七十六条の二第一項)。このとき、道路交通法の駐車に関する項目等は適用されません(第七十六条の二第三項)。また、警察官の指示を受けたときには、その指示に従って移動や駐車をしなければなりません(第七十六条の二第四項)。

警察官は、車両等が緊急通行車両の通行の妨害になるときは、車両の運転手等に車両等の道路外への移動といった緊急通行車両の円滑な通行のために必要な措置を命じることができます(第七十六条の三第一項)。運転手等が命令に従わないときや、運転手等がいないときは、警察官自らが車両等を移動させることができます。この場合、やむを得ない範囲で車両等を破損させることができます(第七十六条の三第二項)。
災害派遣を命ぜられた自衛官は、警察官が現場にいないときに限り、同様の措置ができます(第七十六条の三第三項)。
消防官は、警察官が現場にいないときに限り、同様の措置ができます(第七十六条の三第四項)。

道路管理者、港湾管理者、漁港管理者は、都道府県内や接する都道府県で災害が発生、またはその恐れがある場合に緊急の必要があれば、政令の定めに従い、管理する道路について車両の運転手等に道路外への移動等の措置を命じることができます(第七十六条の六第一項)。運転手等が命令に従わない場合や、運転手等がいない場合等は、道路管理者等が自ら車両を移動させることができます。この場合、やむを得ない範囲で車両を破損させることができます(第七十六条の六第三項)。また、車両の移動にあたりやむを得ない範囲で他人の土地を一時的に使用することができます(第七十六条の六第四項)。
都道府県公安委員会は、必要があれば道路管理者、港湾管理者、漁港管理者に第七十六条の六第一項第七十六条の六第三項第七十六条の六第四項に定める措置をとることを要請することができます(第七十六条の四第一項)。

指定行政機関の長等の応急措置

指定行政機関の長や指定地方行政機関の長は、災害が発生、またはまさに発生しようとしているときは、法令や防災計画の定めに従い、その所掌する事務に関する応急措置をすみやかに実施するとともに、都道府県や市町村の実施する応急措置が的確かつ円滑に行われるように必要な施策を講じなければいけません(第七十七条第一項)。また、必要があるときは、都道府県知事、市町村長等に対し応急措置の実施の要請や指示をすることができます(第七十七条第二項)。

指定行政機関の長や指定地方行政機関の長は、災害が発生した場合に、第五十条第一項第四号から第九号に定める事項の実施に特に必要があるときは、防災業務計画の定めに従い、応急措置の実施に必要な物資の生産や輸送の業者に対し、物資の保管を命じたり、収用したりすることができます(第七十八条第一項)。

指定行政機関の長や指定地方行政機関の長は、災害が発生した場合に市町村や都道府県が全部または大部分の事務を行うことができなくなったときは、法令や防災計画の定めに従い、第六十三条第一項第六十四条第一項第六十四条第二項第六十五条第一項に記載の応急措置の全部または一部を市町村長に代わり実施しなければなりません(第七十八条の二第一項)。

通信設備の優先使用

指定行政機関の長や都道府県知事、市町村長等は、災害が発生した場合に緊急かつ特別の必要があるときは、電気通信事業法第二条第五号に定める電気通信事業者の電気通信設備を優先的に利用したり、有線電気通信法第三条第四項第四号に掲げる者が設置する有線電気通信設備や無線設備を使用することができます(第七十九条)。

指定公共機関等の応急措置

指定公共機関や指定地方公共機関は、災害が発生、またはまさに発生しようとしているときは、法令や防災計画の定めに従い、その所掌する事務に関する応急措置をすみやかに実施するとともに、指定行政機関の長や都道府県知事、市町村長の実施する応急措置が的確かつ円滑に行われるように必要な施策を講じなければいけません(第八十条第一項)。
指定公共機関や指定地方公共機関は、特に必要があるときは、法令や防災計画の定めに従い、指定行政機関の長や都道府県知事、市町村長等に対し物資の確保等について応援を求めることができます。求められた指定行政機関の長等は、正当な理由なく断ることができません(第八十条第二項)。

損失等の補償

国や地方公共団体は、第六十四条第一項第七十一条第七十六条の三第二項後段第七十六条の六第三項後段第七十六条の六第四項第七十八条第一項等による処分が行われたときは、処分により生じた損失を補償しなければなりません(第八十二条第一項)。

市町村は、第六十五条第一項等により応急措置に従事させた住民やその現場にいる人が負傷したり死亡した場合には、その損害を補償しなければなりません(第八十四条第一項)。また、都道府県は、第七十一条により協力命令を出した医療や土木建築工事、輸送等の関係者が負傷したり死亡した場合には、政令や条例の定めに従い、その損害を補償しなければなりません(第八十四条第二項)。

公的な徴収金の減免・貸付の特例等

国は、他の法律の定めに従い、被災者の国税等の国の徴収金の軽減や免除、徴収猶予といった措置をとることができます(第八十五条第一項)。
地方公共団体は、他の法律やその地方公共団体の条例の定めに従い、被災者の地方税等地方公共団体の徴収金の軽減や免除、徴収猶予といった措置をとることができます(第八十五条第二項)。

国は、災害が発生した場合に国有の財産や物品を貸し付けたり使用させるときは、他の法律の定めに従い、その貸し付けや使用の対価を無償としたり、時価よりも低く定めることができます(第八十六条第一項)。
地方公共団体は、災害が発生した場合に所有する財産や物品を貸し付けたり使用させるときは、他の法律の定めに従い、その貸し付けや使用の対価を無償としたり、時価よりも低く定めることができます(第八十六条第二項)。

著しく異常かつ激甚な非常災害の時の特例

著しく異常かつ激甚な非常災害で、避難所や応急仮設住宅が著しく不足し、被災者に住居を迅速に提供することが特に必要な災害が発生した場合は、この災害を政令で指定します(第八十六条の二第一項)。
この指定があったときは、政令で定める区域に地方公共団体の長が設置する避難所等は、政令で定める期間は消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第十七条の規定は適用されません(第八十六条の二第二項)。

著しく異常かつ激甚な非常災害で、被災者に対する医療の提供を行うための臨時の施設が著しく不足し、被災者に医療を迅速に提供することが特に必要な災害が発生した場合は、この災害を政令で指定します(第八十六条の三第一項)。
この指定があったときは、政令で定める区域に地方公共団体の長が開設する臨時の医療施設は、政令で定める期間は医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第四章の規定は適用されません(第八十六条の三第二項)。また、消防法第十七条の規定も適用されません(第八十六条の三第三項)。

著しく異常かつ激甚な非常災害で、埋葬や火葬を円滑に行うことが困難となり、公衆衛生上の危害の発生を防止が緊急に必要な災害が発生した場合は、この災害を政令で指定します(第八十六条の四第一項)。
厚生労働大臣は、この指定があったときは、政令の定めに従い、厚生労働大臣の定める期間に限り、墓地、埋葬等に関する法律(昭和二十三年法律第四十八号)第五条等に規定する手続の特例を定めることができます(第八十六条の四第二項)。

著しく異常かつ激甚な非常災害で、生活環境の悪化を防止が特に必要な災害が発生した場合は、この災害を政令で指定します(第八十六条の五第一項)。
環境大臣は、この指定があったときは、災害によって生じた廃棄物(「指定災害廃棄物」という)の円滑で迅速なな処理をするため、廃棄物処理法第五条の二第一項に規定する基本方針に則って「処理方針」を定め、公表するものとします(第八十六条の五第二項)。
環境大臣は、この指定があったときは、災害廃棄物の処理を迅速にしなければならない地域を「廃棄物処理特例地域」として指定することができます(第八十六条の五第四項)。この地域内で地方公共団体の委託を受けて廃棄物の収集や運搬、処分を行う者は、廃棄物処理法第七条第一項等の許可を受けずに廃棄物の収集や運搬、処分を行うことができます(第八十六条の五第六項)。環境大臣は、廃棄物処理特例地域内の市町村長から要請があり、必要があるときは、処理指針に基づいてその市町村に代わって指定災害廃棄物の収集や運搬、処分を行うことができます(第八十六条の五第九項)。

生活環境の整備

災害応急対策責任者(指定行政機関の長や地方公共団体の長、防災上重要な施設の管理者等)は、災害が発生したときは、法令や防災計画の定めに従い、すぐに避難所を用意し、避難所に必要な安全性や良好な居住性の確保、避難所における食糧や衣料、医薬品等の生活関連物資の配布、保健医療サービスの提供といった避難所に滞在する被災者の生活環境の整備に必要な措置を講ずるよう努めなければならなりません(第八十六条の六)。

災害応急対策責任者は、やむを得ない理由により避難所に滞在することができない被災者に対しても、必要な生活関連物資の配布、保健医療サービスの提供、情報の提供といった避難所に滞在することができない被災者の生活環境の整備に必要な措置を講ずるよう努めなければなりません(第八十六条の七)。

広域一時滞在

市町村長は、市町村内で災害が発生し、被災者の生命や身体を保護したり、居住場所の確保をしたりすることが困難な場合に、同じ都道府県内の他の市町村での一時的な滞在(広域一時滞在)の必要があれば、他の市町村長に協議する事ができます(第八十六条の八第一項)。この場合、求められた市町村長は、正当な理由がある場合を除き、被災者を受け入れ避難所を提供しなければいけません(第八十六条の八第三項)。
市町村長は、都道府県知事と協議を行い、他の都道府県での広域一時滞在(都道府県外広域一時滞在)の必要があれば、都道府県知事に対し、他の都道府県知事と協議する事を求めることができます(第八十六条の九第一項)。この場合、求められた都道府県知事は、被災者の受け入れについて被災した都道府県知事と協議しなければなりません(第八十六条の九第二項)。また、求められた都道府県知事は、その都道府県内の市町村長と協議しなければなりません(第八十六条の九第三項)。この場合、求められた市町村長は、正当な理由がある場合を除き、被災者を受け入れ避難所を提供しなければいけません(第八十六条の九第五項)。

都道府県知事は、災害が発生した場合に、市町村が全部または大部分の事務を行うことができなくなった場合で広域一時滞在の必要があれば、第八十六条の八第一項等の全部または一部を市町村長に代わり実施しなければなりません(第八十六条の十第一項)。
内閣総理大臣は、災害が発生した場合に、市町村や都道府県が全部または大部分の事務を行うことができなくなった場合で広域一時滞在や都道府県外広域一時滞在の必要があれば、第八十六条の八第一項等の全部または一部を市町村長や都道府県知事に代わり実施しなければなりません(第八十六条の十三第一項)。

都道府県知事は、緊急の必要があれば、指定公共機関や指定地方公共機関の運送事業者に対し、被災者の運送を要請することができます(第八十六条の十四第一項)。

都道府県知事や市町村長は、災害が発生した場合に、被災者の安否情報について照会があったときは、回答する事ができます(第八十六条の十五第一項)。回答するときは、被災者等の権利を不当に侵害することのないよう配慮するものとします(第八十六条の十五第二項)。また、名簿の作成にあたり、関係地方公共団体の長や消防機関、都道府県警察等に要配慮者に関する情報提供を求めることができます(第八十六条の十五第四項)。

都道府県知事又は市町村長は、災害が発生、またはその恐れがある場合に備蓄する物資や資材が不足し、災害応急対策を的確かつ迅速に実施することが困難な場合は、都道府県知事は指定行政機関の長や指定地方行政機関の長に、市町村長は都道府県知事にそれぞれ必要な物資や資材について要請することができます(第八十六条の十六第一項)。
指定行政機関の長や地方公共団体の長等は、緊急の必要があれば、物資や資材の供給に関して、総合に協力するよう努めなければなりません(第八十六条の十七第一項)。
指定行政機関の長や都道府県知事等は、指定公共機関や指定地方公共機関の運送事業者に対し、災害応急対策に必要な物資や資材(災害応急対策必要物資)の運送を要請することができます(第八十六条の十八第一項)。

まとめ

「災害応急対策」について、前後編に分けて解説しました。

第七十六条から第七十六条の八にかけて、災害時の道路の通行禁止及び車両の移動について定められていますが、「災害時の自動車での避難」というのは、東日本大震災以降その是非がよく話題になっています。

大地震が発生したときに運転者がとるべき対応については、以下の警察庁のウェブサイトをご覧ください。

大地震が発生したときに運転者がとるべき措置|警察庁Webサイト

東日本大震災の時、

避難に車を使うべきか~NHK東日本大震災アーカイブス~
東日本大震災では、津波から逃れるために車で避難する方が大勢いました。しかし、車で逃げることは大きなリスクを伴います。道路が渋滞して身動きがとれなくなることや、海沿いの道路を走っていて津波に飲みこまれることがあります。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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